名機GXの前のナショナルのフラグシップ　ワールドボーイ　カスタム　整備済動作品

今となっては不思議な位な話ですが、69年当時ではラジオにどんな素子が何個使われていたかが、そのラジオの性能と先進性を表してていました。それが証拠にこの頃の全てのラジオには裏面に何個のトランジスタとダイオード、更にはICとFETが使われていたかが、誇らしげに表示されていました。このモデルはトランジスタ12石が使われており、後期型では11石とICと言う構成になって居ます。69年に発売されたソニーのIC11は略同時に発売されたワールドボーイGXと共に3バンドポータブルのでブームを作る程のヒットとなりました。特にIC11はラジオに初めてICを採用した事がラジオそのもののキャッチフレーズになる程の技術革新でした。何せトランジスタ数個分がそれよりも遥かに小さなチップに収められているというのは、当時としては夢の様な技術でした。今振り返ると最新のiPhone用のLSI一個に数十億個のトランジスタが入っている訳ですから、なんと他愛無い話かと思います。でも、70年台直前の技術というのはそんなレベルだった訳です。従ってIC11というのは当時の技術の最先端にあったと思っていたのですが、GXの前の世代のこのカスタムにICが使われていたとすると、ソニーのPRはある意味茶番だった事になります。細部に拘り過ぎましたが、このカスタムはGXが発売される迄ナショナルのポータブルモデルの主力でした。特許申請中と書かれたスライドボリューム、AFC. の導入というのがセールスポイントで価格は￥14500。10cmのホワイトコーンスピーカー使用で1.1Wの大出力、MFB採用の高音質である事も売りでした。この個体は、アンテナが無く代替品を付けましたが、少し長すぎて収まりが余り良く有りません。汚れは有りましたが整備、クリーニング後は写真の通り、割りに綺麗です。但し美品ではありません。特殊なACコードはオリジナルをおつけします。革ケース付き。デザインがお気に召せばお買い得かも知れません。

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